日本酒作りに欠かせないのが酒米。
日本酒好きを語るのであれば、酒米について基本的な知識を知っておきたいですよね。
日本酒が好きな一方で、「実は酒米がどういう米なのか知らない」「調べても有名な酒米がわかりにくい」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、利き酒師が日本酒を監修するククコレが、酒米の基本的な説明から、生産量の多い酒米5種類をご紹介します。
この記事を読めば、日本酒の酒米の基礎知識をしっかり習得することができますよ。
酒米とは
酒米とは、日本酒づくりの原料となるお米のこと。正式な名称は、「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」です。
酒米は、ふだん私たちが口にしている「めし用の米」とは特徴が異なります。ここでは、代表的な違いを3つご紹介します。
①粒が大きい
日本酒をつくるときには、精米というお米の表面を削る工程が必要です。
このとき、米の粒が小さいとお米が砕けてしまい、うまく精米することができません。そのため、粒の大きいものが日本酒づくりに適しているといわれています。
②心白がある
米を光に透かすと、その中央に白色不透明な部分があることがわかります。この部分を、「心白(しんぱく)」とよびます。
心白の成分は、たんぱく質・脂質の含有量が少ないことが特徴です。
また、心白の部分には、米を発酵させる麹(こうじ)の菌糸が入りやすいため、心白のあるものが日本酒づくりに適しています。
③低たんぱく質・低脂質
日本酒に含まれるアミノ酸は、原料米のたんぱく質が分解されてできたもの。
アミノ酸は適量であれば旨味となりますが、多すぎると雑味になります。そのため、低たんぱく質の米が酒造りには向いています。
オススメの日本酒の酒米5選
1. 山田錦(やまだにしき)
栽培が難しく、農家泣かせな品種ながら、「最高の酒米」といわれる酒米の代表品種。
全国各地で栽培されており、数多くの有名な日本酒の原料に使用されています。
その中でも、最高品質の産地は、原産地である兵庫県で栽培されたものです。
2. 五百万石(ごひゃくまんごく)
新潟、福井、富山、石川などを中心に栽培されている品種です。
その生産量は、山田錦につぐ全国2位(令和2年現在)。
2001年に山田錦に抜かれるまで、40年以上作付トップの座にいた、長寿品種でした。
米の性質上、高精白が難しいため、高級酒には不向きです。
一方で、その口当たりは淡麗でキレのある味になりやすく、親しみやすい風味が特徴的。
3. 雄町(おまち)
山田錦より生産量は少ないですが、品質がよく、山田錦と人気を争う品種の雄町。
岡山県の代表的な酒造好造米で、味の幅が広く、個性的な酒質が特徴です。
酒米では珍しいかけあわせなしの原種で、昭和40年代に生産量が激減したことから、「幻の酒米」と呼ばれました。
4. 美山錦(みやまにしき)
長野県を代表する酒米。
山田錦、五百万石についで生産量全国3位の品種です。
なめらかで、キレのある味が特徴です。
5. 秋田酒こまち(あきたさけこまち)
秋田県特産の酒造好適米です。
高精白が可能で、吟醸、大吟醸にも向きます。
上品ですっきりとした味、米の豊潤な香りが特徴的な酒米です。
まとめ
同じ酒米を使用していても、味わいが異なる日本酒は、大変奥深いもの。
日本酒の酒米の種類に詳しくなると、日本酒選びがより楽しくなります。
日本酒を嗜むときは、ぜひ酒米にまで考えを巡らせてみてくださいね。
参考文献
『酒米ハンドブック』福島顕子(文一総合出版)
農林水産省 ホームページ『令和2年度 酒造好適米などの需要量の追加調査結果及び令和2年産の生産状況等』