コラム

日本酒のラベルを見てみよう

2021/10/13

例えば酒屋さんで、
色とりどりの酒類が並ぶ中から気になったデザインの物を購入する『 ジャケット買い』
どんなお酒なのか、飲むまで楽しみなものです。

さて、
先日とある酒屋さんで『死神』という日本酒を見つけ購入しました。
メーカーである酒蔵はもちろん、初めて見る銘柄だったのですが、
その威圧感、存在感と言ったら、購入せずにいられない衝動に駆られたわけです。

一体どんなお酒なのだろう色々と想像が膨らみます。

そこで今回は、
日本酒の『ジャケット買い』を是非オススメしたい!
その為には、日本酒の顔とも言えるラベルの見方を少しだけご紹介します。

今回のテーマは
『特定名称酒 とくていめいしょうしゅ 』

難しい言葉の様に思えて、実は非常に単純な呼び名なのです。
ラベルを見るとお米のお酒である日本酒をより深く理解できるようになりますよ 。

精米歩合 〜 せいまいぶあい 〜

日本酒のラベルをよく見ると、
『精米歩合 〇〇%』なんて表記を見ます。

これは、
原料であるお米をどのくらい削って使用したか

つまり、
20%削れば『精米歩合 80%』となり、もっと削って 50 %削れば『精米歩合 50 %』
となるわけです。

ちなみに、白いご飯として食べる白米は精米歩合で言うと 90 %ほどだそう。
炊きたてのご飯、美味しいですよね!それは日本酒の、旨い!にならないのでしょうか。

いえ実は、
お米の表層には酒造りの上で雑味の原因となる栄養素が多く含まれています。

ただし、
削れば良いと言う訳ではなく、お米の表層には日本酒の旨みの素もあるようで

多く削れば、雑味の少ない軽快なお酒となる傾向があり 、
少なく削れば、重厚で旨みの強いお酒となる傾向がある。

最近の軽快なお酒が好まれる中で、より多くお米を削ったお酒をよく見ます 。
精米歩合が、なんと1なんてお酒もあるようです。

精米歩合とは、どの様なお酒なのか知る上で一つの目安となります。

では削られたお米はどうなるのか。
ある酒蔵では米粉として学校給食に出されるパンの原料にしているそうです。
その他にも色々な用途があるようで、原料であるお米を捨てる事なく使い切る。

酒蔵の心意気を感じますね。

アル添のお話し ~醸造アルコール〜

かつて日本酒にも黒歴史とも言える 時代がありました。

かさ増しの為、アルコールを日本酒に 加えて販売していた!?
なんてことも。
時代背景から仕方が無かった部分もあるとは思います。

実は、
日本酒において現在もアルコールの添加は行われています。

お酒を造る上で雑菌の繁殖を抑えるため、
醸造アルコールの添加は古くから行われてきた日本酒の醸造技術なのです。

それだけではありません。

日本酒の吟醸香という華やかな香りを引き出す
役割もあり、他にもメリットとなる要素があります。

醸造アルコールとは日本酒にとって無くてはならな い存在と言えます。

ラベルをよく 見ると、

原材料名:米・米こうじ・醸造アルコール
なんて書いてありませんか??

特定名称酒 ~とくていめいしょうしゅ〜

ラベルを見ると、
『清酒』と書いてあるかと思います。
この清酒の表記が無い物についてはまたの機会でお話するとして。

次に、
純米大吟醸・純米吟醸・純米・大吟醸・吟醸・本醸造・特別純米・特別本醸造

いずれかが書いてあるでしょうか。
これらが『特定名称』つまりこのお酒は『 特定名称酒 』という事になります。
では特定名称酒とは、簡単に言います。

・精米歩合は何%
・醸造アルコールの添加の有無

この二つの情報を表しているのです。

お米を削ればその分原料であるお米代が掛かります。
図のような純米大吟醸・大吟醸のようにお米を多く削るお酒は必然と高額になるわけです。

そして一番大切なところ

高額=美味しい ではありません。
特定名称は、あくまで自分の好みのお酒を見つける上での目安とするのが良いでしょう。

清酒と書いてあっても『 特定名称』が書いてないよ!
そんなラベルを見つけたあなた、
『特定名称酒』以外の清酒は全て『普通酒』のカテゴリーに入ります。

また最近ではこの特定名称を明記しないお酒が見られます。
お酒の良し悪しは飲んでみてから判断してくれ!

造り手である酒蔵からのメッセージではないでしょうか 。

そうそう、
最初に書いた『死神』なのですが、
これがまたイイ意味で見た目とは裏腹でした。

カラメルの様な甘さから、
アイスクリームにかけても美味しそうな、
そんな味わいの日本酒でした(笑)

最後に今回は原料であるお米の話しを少しだけしましたが、
酒造りに適したお米の話をより詳しく書いたコラムがあります。
参考までに
ククコレ日本酒の酒米5種類を解説